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資本性劣後ローンとは?――「借入なのに、資本に近い」資金調達の考え方

  • 執筆者の写真: 匠 遠藤
    匠 遠藤
  • 2025年12月30日
  • 読了時間: 4分

資金調達というと、一般的には「融資(借入)」か「出資(資本)」のどちらかを思い浮かべる方が多いと思います。一方で、近年の中小企業支援の現場で活用が広がっているのが 資本性劣後ローン です。

資本性劣後ローンは、形式上は“借入”でありながら、金融機関の評価上は“資本に近い性格”を持つ特殊なローンです。そのため、財務体質を改善しながら成長投資の資金を確保したい企業 にとって、有力な選択肢になり得ます。

「資本性」「劣後」とは何が違うのか

資本性(=資本に近い)

資本性劣後ローンが資本に近いと言われる理由は、主に次の点にあります。

  • 返済期間が長い(長期での設計が多い)

  • 業績に応じて返済負担を調整できる設計(一定の条件下での柔軟性)

  • 金融機関の審査・管理の中で、自己資本に準じて扱われるケースがある

結果として、金融機関から見ると「短期で資金繰りを圧迫する借入」とは異なり、企業の下支えになる資金として位置づけられやすくなります。

劣後(=返済順位が後ろ)

劣後とは、万が一の局面(倒産・法的整理など)で、他の一般債権者よりも返済順位が後ろになるという意味です。つまり、金融機関にとってはリスクが相対的に高くなるため、通常の融資とは条件や考え方が異なります。

なぜ「資本性劣後ローン」が有効なのか(メリット)

1)財務体質の改善に寄与しやすい

資本性劣後ローンは、金融機関の見方によっては自己資本に近い形で評価されることがあり、債務超過の改善、財務安全性の向上、追加融資の検討余地につながる場合があります。

2)成長投資・事業再生の“土台資金”になりやすい

設備投資・採用・新規出店・DX投資など、成果が出るまで時間がかかる投資には、短期返済の借入よりも、資本性資金の方が相性が良いケースがあります。

3)「出資ほどの希薄化や経営権移動」がない

株式による資金調達(出資)と違い、基本的には議決権や経営権への影響がない形で資金を入れられるため、オーナー経営の中小企業でも検討しやすい特徴があります。

注意点(デメリット・留意事項)

1)通常融資よりコストが高くなることがある

劣後性がある分、金利や手数料などの条件が通常融資より厳しくなる可能性があります。ただし、単純な金利比較ではなく、資金繰りの安定性・追加融資の引きやすさまで含めて総合判断することが重要です。

2)“資本扱い”は会計上ではなく、金融機関の評価の話

資本性劣後ローンは、会計上は基本的に負債(借入金)です。「決算書上の純資産が増える」という意味ではないため、金融機関の評価軸(実態BS、債務償還年数、DSCRなど)を踏まえて設計する必要があります。

3)使い方を間違えると、逆に財務が重くなる

資本性とはいえ借入は借入です。「投資の回収計画がない」「固定費が増えるだけ」「収益改善の打ち手がない」状態で実行すると、返済負担が将来重くなります。導入前に、資金使途・回収シナリオ・利益計画をセットで組み立てることが不可欠です。

どんな会社に向いている?(活用シーン例)

  • 成長投資をしたいが、自己資本が薄く追加融資が通りづらい

  • 債務超過または債務超過に近く、財務改善が急務

  • 返済負担の重さで投資に踏み切れない(資金繰りに余裕を持たせたい)

  • 事業再生局面で、金融機関調整とセットで資本性資金を入れたい

  • M&Aや店舗展開など、先行投資が必要で回収に時間がかかる

資本性劣後ローンは「設計」が9割

資本性劣後ローンは、単に借りられるかではなく、事業計画・資金使途・収益改善・金融機関説明(稟議の通し方)**まで含めて設計することで効果が最大化します。

「財務が弱いから借りたい」ではなく、「財務を強くしながら、次の成長のための資金を確保したい」――この文脈で活用するのが基本です。

まとめ:資本性劣後ローンは“資金繰り”と“信用力”を同時に整える手段

資本性劣後ローンは、

  • 企業の財務に“厚み”を持たせ、

  • 追加融資や投資余力を作り、

  • 成長や再生の足場を固める

ための、実務的な選択肢です。

 
 
 

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